熱量を引き出し、高め合う、ダイアローグ

———大きく回り始めたきっかけは?

野口さん:私が感じる1番のきっかけは、渡邉さんにSENQ会員への助言を行うメンターの方々をご紹介頂いたことですね。どうやって会員さんにこの場所に魅力を感じてもらうか、 ビジネスを成長させられるか、という課題を抱えていたんですが、その時にメンター制度を提案して頂いたんですよ。しかも名だたる企業の方を3名もご紹介してくれて。

渡邉  :とりあえずアポ取って話しに行きましょうよって言ったら、野口さんがすごく驚いてらっしゃったことは覚えてます。(笑) 「え?そんな簡単に話を聞いてくれるんですか?」って。で、そのミーティングが終わった後に、「二つ返事でご了解いただいた」ということにすごく衝撃を受けてらしたのが印象に残っていますね。

野口さん:いやあ、あれは驚きました。今まで実感したことのない世界でした。もちろん、我々も「オープンイノベーションな場を作ろう」っていう目標は掲げてたんですが、実際にどういう人たちがそこに介在するのかを目の当たりにすることはなかったので、こんなにフラットに世の中に開かれているんだということを、実体験させてもらった、という感じでしたね。それ以外にもスタートアップ関連のイベントに連れて行ってくださったりもして、いろんな刺激をいただきました。
その3名の方にメンターとして参加していただけることになったので、社外からの期待値を明示でき、それが社内を後押しすることにも繋がって、事業が大きくなっていったと思います。実はその手前で社内の他のメンバーの熱量をどう上げていくか苦しんでいる時期もあって、私としてはそこも苦しかったんですが、メンター制度というアイデア一つで「何それ?ちょっと面白そう」って社内のメンバーの温度感が戻ってきた感覚がありましたね。

渡邉  :やっぱり、なんか楽しそうにしてれば人は集まると思うので、「ワイワイ」面白そうなことをやってるなっていう、賑わいをつくるというか、そういうのを心がけてたかもしれないですね。今はもう当たり前のようにあるメンター制度ですが、当時はあまり日本に事例がなく、ましてや「食」をテーマにするのも珍しかったので、海外の事例とかも調べながらやりましたね。あと、やっぱり、大企業で新しいことをやるときって社外の評価、メディアの力って大切ですよね。

野口さん:不動産業の感覚からすると、「ラウンジ」という収益に直結しない空間に大きなスペースを割かないんですよ。でも、何かそこで生み出されるものがあって、それこそが価値のあるものだと証明できたというか、ラウンジのあるコワーキングスペースっていう一つのスタンダードを作れたんじゃないかなって思いますね。

渡邉  :そうですね。今じゃ当たり前ですもんね。

———現在は、どのような事業を手がけられているんでしょう?

野口さん:不動産デベロッパーとしてオフィスなど業務用賃貸物件の企画・開発を推進していて、ここ数年は主に物流施設の開発をしています。建物を建てて、貸し出すにあたり、弊社のみならず、利用する企業の方や、そこで働く方も含めた三方良しの世界を作りたいと考えています。例えば物流施設を建設するなら、施設を利用するテナント企業や、内部で働く従業員の方、荷を運ぶトラックドライバーの方にも、業務効率や居心地など、不動産が提供できる価値は多岐にわたります。どなたにとっても此処は良い施設だと感じてもらえるような価値を追求していきたいと考えています。

渡邉  :そっちはそっちで、また日程調整させてください。私がやっていることも改めて紹介できればと思っていますので。

野口さん:はい。ぜひいらしてください。

渡邉  :じゃあ、またご連絡させていただきますので、引き続きよろしくお願いします。

人物紹介

中央日本土地建物株式会社 投資開発部 新規アセット推進室 総括次長
野口美隆(のぐちよしたか)

前職にて行政へのアドバイザリー業務を担当。
公益財産への民活導入検討、地方自治体の中越震災復興計画等。
中央日本土地建物に入社後、民活PPP案件、都市型コンパクト共同住宅、京橋二丁目再開発事業(京橋エドグラン)、コワーキングスペース「SENQ」シリーズの立ち上げを経て、2020年より現職で物流施設シリーズ「LOGIWITH」の企画・開発を担当。